皆様、こんにちは!
歯周病は、歯を失う最大の原因であることは周知の事実かもしれません。しかし、本当に恐ろしいのは、この病気が単なる「磨き残し」だけの問題ではないという点です。
実は、歯周病は、私たちが日々抱えるストレスや生活習慣の乱れと深く結びついた、現代病とも呼べる側面を持っているのです。
「歯周病=磨き残し」は古い? 現代社会と歯周病の密接な関係
もちろん、歯周病の原因は細菌感染です。しかし、なぜ同じように歯磨きをしていても、歯周病になりやすい人となりにくい人がいるのでしょうか?その鍵は、細菌と戦う「体の抵抗力(免疫力)」にあります。
1. ストレスと免疫力の低下
仕事のプレッシャーや人間関係の悩みでストレスが溜まると、私たちの体は交感神経優位の状態になり、免疫機能が低下します。免疫が下がると、口の中にいる歯周病菌を抑え込む力が弱まり、一気に炎症が進行してしまうのです。
2. 睡眠の質と修復能力
慢性的な睡眠不足は、ストレスと同様に免疫力を低下させます。また、炎症で傷ついた歯ぐきや骨の修復(リカバリー)は、私たちが眠っている間に活発になります。睡眠が浅かったり短かったりすると、この修復機能が十分に働かず、炎症が長引き、歯周病が進行しやすくなります。
つまり、現代社会で頑張っている人ほど、「歯磨きはしているのに、なぜか歯周病が悪化する」というジレンマに陥りやすいのです。
ありきたりではない! 歯周病の最新アプローチ
「頑張って歯磨きしてください」だけでは、現代の歯周病は防げません。当院では、単に歯石を取るだけでなく、患者様の全身状態に着目した多角的なアプローチを重視しています。
①歯周組織再生療法(保険適用外の場合あり)
重度の歯周病で一度溶けてしまった歯を支える骨は、以前は元に戻すことが非常に困難でした。しかし、現在ではエムドゲインやGTR法(組織再生誘導法)といった外科的な治療法により、失われた骨や組織を再生させることが可能になっています。これにより、「もう抜歯しかない」と宣告された歯でも、残せる可能性が生まれています。
②生活習慣指導
単なるセルフケア指導を超え、患者様の生活リズムをお伺いし、「夜間の食いしばり対策(マウスピース)」や「質の良い睡眠をとるためのアドバイス」など、免疫力を高めるための総合的な生活指導も行います。口の中の健康は、体全体の健康と切り離せないからです。
最後に
「歯周病」という病名を聞くと、どうしても「高齢者の病気」「自己責任」といったイメージがつきまといがちです。しかし、それは大きな誤解です。多忙でストレスの多い現代人こそ、歯周病のリスクが高いという現実があります。
歯周病治療の目的は、単に歯石を取ることではありません。「あなたが最高のパフォーマンスを発揮できる健康な体を取り戻すこと」、そして「一生、自分の歯で笑い、食事を楽しむこと」です。
長引く歯ぐきの不調は、体の疲れやストレスのサインかもしれません。ありきたりではない、あなたの生活全体を見据えた治療をご希望でしたら、ぜひ一度当院にご相談ください。
宇治市 中村歯科医院院長 歯周病学会専門医 中村航也
