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医院コラム

インプラントが台無しに!? 知っておくべき「歯周病の負の連鎖」と投資効果


皆様、こんにちは!


もしあなたが将来、インプラント治療を検討しているのであれば、今日の話は非常に重要です。なぜなら、過去の歯周病の状況が、未来のインプラント治療の「成功率」と「維持費用」に直接影響するからです。


1. 歯周病がインプラントを蝕む「インプラント周囲炎」

インプラントは「第二の永久歯」と言われる優れた治療法ですが、歯周病にかからないわけではありません。インプラントの周りの組織が炎症を起こす「インプラント周囲炎」という病気があります。

 

* 原因: 天然の歯と同じく、プラーク(細菌)の蓄積が原因です。

 

* 厄介な点: 天然の歯には、インプラントにはない「歯根膜」というクッション組織があります。この組織がないインプラントは、細菌の攻撃に対する防御力が低く、一度炎症が始まると、天然歯の歯周病よりも急速に進行し、骨が溶けてしまう傾向があります。


2. 歯周病リスクが高い人が注意すべきこと

過去に歯周病で歯を失った方は、口腔内に歯周病菌が多い環境がすでに存在しているため、インプラント周囲炎になるリスクが非常に高いと言えます。


【インプラント治療を受ける前に必須のステップ】


* 徹底した歯周病のコントロール: インプラントを埋入する前に、残っているすべての歯の歯周病を完全に安定させることが絶対条件です。活動性の炎症が残っている状態でのインプラント埋入は、将来的な失敗に繋がります。


* インプラント治療後のメンテナンス: インプラントは、天然歯よりもさらに厳格な定期メンテナンスが必要です。最低でも3〜4ヶ月に一度の専門的なクリーニングと、インプラント周囲の特別な清掃が不可欠です。


3. 「予防」こそが最強の経済対策

「歯周病」という負の連鎖は、時間、費用、そして健康を奪い続けます。

* 初期投資(予防・治療): 早期に歯周病を治療し、予防に投資する費用。

* 将来のコスト: 歯周病を放置した結果、抜歯→ブリッジ・入れ歯・インプラントとなり、さらにインプラント周囲炎の治療を繰り返す費用。


現在、予防のための定期検診に投資することは、将来的に高額なインプラント治療や再治療を避け、時間と費用のロスを最小限に抑える、最も賢い経済的な選択なのです。


あなたの将来の口元の健康を、今から一緒にデザインしていきましょう。


宇治市 中村歯科医院院長 歯周病学会専門医 中村航也