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医院コラム

皆さんは若年性歯周炎という言葉を聞いたことはありますか?

歯周病といえば30代から40代で発症するイメージが強くあると思います。

しかし、若者でも発症する若年性歯周炎があります。今回は若年性歯周炎についてお話ししていこうと思います。


若年性歯周炎(現在では「侵襲性歯周炎」と呼ばれることもあります)は、比較的若い年齢(10代後半から30代)で発症する、進行が早い歯周病の一種です。通常の歯周病と異なり、特定の原因やリスクが関与していることが多く、適切な治療を受けないと若い年齢にもかかわらず歯を失うリスクがあります。


若年性歯周炎の特徴

  1. 進行が早い
    他の歯周病に比べ、歯周組織(歯を支える骨や歯茎)が短期間で破壊されることがあります。
  2. 特定の歯に多く見られる
    特に第一大臼歯や前歯の周辺に影響が出やすいとされています。
  3. 健康そうな外見の歯茎でも症状が進む
    一見して健康に見える歯茎でも、深刻な歯周ポケットや骨の破壊が進んでいる場合があります。
  4. 遺伝的要因や特定の細菌が関与
    遺伝や特定の病原性細菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitansなど)の影響が大きいと考えられています。

 

若年性歯周炎の主な原因

  • 遺伝的要因
    家族に歯周病が多い場合、リスクが高まることがあります。
  • 不十分な口腔ケア
    プラーク(歯垢)が溜まりやすくなることが進行を助長します。
  • 免疫系の問題
    体の免疫反応が過剰または弱い場合、歯周組織が破壊されやすくなります。
  • 喫煙やストレス
    若年層でもこれらの要因は大きなリスクとして挙げられます。

 

若い人でも安心できない理由

1. 症状が気付きにくい

  • 初期症状は軽度の歯肉炎(赤みや腫れ、出血)程度であることが多く、自覚しにくいのが問題です。
  • 痛みを伴わないため、進行してから気付くケースが多いです。

2. 放置すると取り返しがつかない

  • 若い時期に歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が大きく失われます。
    骨の再生は非常に難しいため、歯を失うリスクが高まります。

3. 全身への影響

  • 若い年齢であっても、歯周病は糖尿病や心疾患、早産リスクなど全身の健康に悪影響を与えることがあります。

 

予防と対策

1. 定期的な歯科検診

  • 歯周病は早期発見が非常に重要です。少なくとも6ヶ月に1回の定期検診を受けましょう。

2. 正しい口腔ケア

  • 毎日の歯磨きに加え、歯間ブラシやデンタルフロスを使うことで、歯周ポケット内の汚れをしっかり除去します。

3. ライフスタイルの見直し

  • 喫煙は歯周病の大きなリスクです。禁煙を検討することで予防効果が高まります。

4. 専門的な治療を受ける

  • 初期段階ではスケーリング(歯石除去)やルートプレーニングが有効です。
  • 進行している場合は外科的治療が必要になることもあります。

 

まとめ

若年性歯周炎は、若い人にも無関係ではない深刻な病気です。進行が早く、適切なケアを怠ると取り返しがつかない結果を招く可能性があります。
しかし、早期に気付いて適切な治療を受けることで健康な歯を維持することが可能です。予防と早期治療を心がけ、将来の歯の健康を守りましょう!