前回は糖尿病と歯周病の関係についてお話ししました。今回は歯科観点による予防方法についてお伝えします。
糖尿病と歯周病の予防には、両者を同時に管理することが求められます。以下の対策を行うことで、歯と全身の健康を守ることができます。
1. 血糖コントロールの徹底
血糖値を適切に管理することが、歯周病予防の第一歩です。定期的に血糖値を測定し、医師の指導に従った薬物療法やインスリン治療、食事療法を行いましょう。血糖値が安定することで、免疫力の低下や血管のダメージを防ぐことができます。
2. 定期的な歯科検診とクリーニング
糖尿病患者は、通常よりも頻繁に歯科検診を受けることが推奨されます。歯周病の早期発見と予防のために、3〜6ヶ月ごとに定期的なクリーニングや歯科検診を受けましょう。歯科医師が歯周病の進行度を確認し、適切な治療を提供します。
3. 正しいブラッシングとフロスの使用
歯垢の蓄積を防ぐために、1日2回以上の歯磨きと、フロスや歯間ブラシを使用して歯と歯の間をしっかりと清掃しましょう。特に糖尿病患者は歯垢が歯周病に直結しやすいため、口腔内の清潔を保つことが重要です。
4. 健康的な食事と生活習慣の改善
糖尿病の管理には、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。食事に関しては、低糖質で栄養価の高い食品を選び、血糖値の急激な上昇を避けるように心がけましょう。禁煙も非常に重要で、喫煙は歯周病のリスクをさらに高めるため、できるだけ早くやめることが望ましいです。
5. 口腔の潤いを保つ
ドライマウスがある場合、こまめに水を飲む、無糖のガムを噛む、口腔保湿ジェルを使用するなどして口腔内の潤いを保つことが推奨されます。これにより、唾液の分泌が促進され、口腔内の自浄作用が高まります。
まとめ
定期的な歯科検診とクリーニング、適切な血糖管理、日々の口腔ケアを徹底することで、両方の健康リスクを低減することが可能です。歯と全身の健康を守るためには、医師と歯科医師との連携を大切にし、包括的なケアを心がけましょう。
宇治市 中村歯科医院院長 歯周病学会専門医 中村航也