糖尿病と歯周病は深い関係があることが医学的に証明されています。糖尿病患者は歯周病のリスクが高まり、逆に歯周病は糖尿病のコントロールを難しくする可能性があります。
糖尿病と歯周病の関係は、相互に影響を及ぼし合うものです。糖尿病の患者は高血糖状態が続くため、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。これが歯周病のリスクを高める一因です。一方で、歯周病は炎症性の病気であり、体内の炎症が高まることでインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールが難しくなることがあります。
1. 糖尿病が歯周病に与える影響
糖尿病患者は、高血糖状態が歯周組織に悪影響を及ぼすため、歯周病のリスクが高まります。具体的には以下の点が挙げられます。
* 免疫力の低下: 高血糖は白血球の機能を低下させ、感染に対する抵抗力が弱くなります。これにより、歯周病の原因菌への抵抗力も低下し、炎症が進行しやすくなります。
* 血管の損傷: 高血糖状態は血管にダメージを与え、歯茎の血行不良を引き起こします。これが歯周組織の栄養不足や酸素不足を招き、歯周病の進行を加速させることがあります。
* 唾液の減少とドライマウス: 糖尿病は唾液の分泌量を減少させることがあり、ドライマウス(口腔乾燥症)を引き起こします。唾液が少ないと口内の自浄作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。
2. 歯周病が糖尿病に与える影響
歯周病は、糖尿病患者の血糖コントロールを悪化させることがあります。これは、歯周病が全身性の炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を高めるためです。
* 炎症性サイトカインの増加: 歯周病によって歯茎で炎症が起こると、炎症性サイトカイン(インターロイキンやTNF-αなど)が血流に乗って全身に拡散されます。これらのサイトカインがインスリンの働きを阻害し、血糖値を上昇させる要因になります。
* インスリン抵抗性の悪化: 歯周病に伴う慢性的な炎症は、体内でインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)を作り出します。これにより、糖尿病患者は血糖値を正常に保つことが難しくなり、糖尿病の管理が複雑になります。
糖尿病と歯周病の症状
* 歯茎の腫れや出血
* 歯茎の痛みや圧痛
* 歯のぐらつき
* 口臭(口腔内の細菌繁殖による)
* ドライマウス(口の乾き)
糖尿病患者はこれらの症状が現れやすく、また進行が速いことがあるため、早期発見と治療が重要です。
まとめ
糖尿病と歯周病は相互に影響し合う関係にあり、糖尿病患者にとって歯周病の予防と治療は特に重要です。
次回は予防方法について詳しくお話ししていきます。是非ご覧ください。
宇治市 中村歯科医院院長 歯周病学会専門医 中村航也