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医院コラム

お口の臭いが気になる方、ベロの上白くないですか?

もしかしたら、その白いのが臭いの原因になっているかもしれません。


今回はベロの上の白いもの〝舌苔〟についておはなししていきます。

舌苔(ぜったい)とは舌の上に苔のような汚れがついていることをいいます。鏡の前で舌をベーっと出してみてください。白っぽい汚れが舌の上にたくさん付着していたら、それが舌苔です。


舌苔は病気ではなく、治療の必要はありませんが、あまり放っておくと口臭の原因になったり、カンジタ症などの感染症を発症する原因になったりします。


舌苔の原因

①細菌

口の中の細菌が舌の溝に入り込んで溜まり、舌苔として白く見えます。色素を作り出す細菌が原因の場合は黄色や灰色、茶色、黒色など変化することがあります。


②剥がれた上皮のカス

舌自体の上皮や口の中の上皮が剥がれ、溜まったものが舌苔として白く見えます。例えば猫などの動物の舌はザラザラとヤスリのようになっていて、食べ物をかき取る作用があります。実は人間の舌も表面は角質化しているのです。この角質化が進むと舌の細胞が伸び、その隙間に剥がれた上皮が溜まり、舌苔になります。


③食べカス

食べかすが舌の細胞の間に残り、舌苔になることがあります。舌の本来の位置は上顎に軽く付いている状態です。舌の位置が低い位置にあったり、口呼吸があったり、舌の動きが悪いと舌が周りと擦れず、食べかすが残ってしまいます。


④口呼吸

口呼吸があると舌苔が出やすくなります。汚れは乾燥するとこびりつき取れにくくなります。キッチンなどでも濡れている間は汚れがすぐに取れますが、一度乾燥してしまうと簡単には取れなくなります。口の中もいつも唾液で濡れていますが、口呼吸のある方はすぐに、乾燥してしまい汚れが自然に落ちないために舌苔ができてしまいます


⑤唾液の量

ストレスや薬、全身的な病気によって唾液の量が減ると舌苔ができます。唾液は口の中を洗い流す効果があります。唾液が減ると汚れや細菌が舌に溜まり、舌苔ができます。高血圧の薬や精神疾患の薬の中に唾液が少なくなる副作用があるものもあります。


口臭を改善する舌苔のお掃除方法

舌苔を取ることは口臭を抑えるためにはとても有効です。舌が湿っている状態にしてから、舌ブラシや歯ブラシを軽くあて、舌の根っこの方から前に引いて汚れをかき出してからうがいをしてお口の外に出します。

舌苔の取り方のポイントは優しく舌をこすることです。歯磨きと同じ感覚でゴシゴシしないように気をつけましょう。舌も歯ぐきと同じく柔らかい組織ですので強くこすると赤くなったり、強くしすぎると出血することもあるので注意してください。


最近では、ドラッグストアなどの口腔ケア用品売場に行けば、たいてい「舌ブラシ」が陳列されています。


歯ブラシはその形状から舌を傷つけてしまったり、力加減が難しい場合もあるので、舌専用のブラシを使うのも良いと思います。


舌ブラシは、舌に優しい構造になっているため、歯ブラシよりも安全に舌磨きをすることができると思います。しかし、それでも力の入れすぎや、磨き過ぎには注意が必要です。

舌磨きは、多くて1日1回、朝の歯磨き時に軽い力でゆっくりと舌の奥から掻き出すように磨きましょう。


宇治市 中村歯科医院院長 歯周病学会専門医 中村航也