今年1月に発表された論文によると、歯周病菌の1種であるPorphyromonas gingivalis菌(グラム陰性偏性嫌気性細菌)がアルツハイマー病の原因ではないか、ということを指摘しています。
歯周病で腫れた歯ぐきからこの菌が血管内に侵入し、脳に到達、そして脳が過剰に反応して自らを攻撃してしまう、というメカニズムではないかと言われています。
これまで約35年間、アルツハイマー病の原因はアミロイドというタンパク質の蓄積だという考え方が主流でした。莫大な研究費が投入されましたが、めぼしい成果は得られていないのが実情でした。
この考え方とは全く異なる見方が近年注目を集め始めています。アミロイドがアルツハイマー病の原因なのではなく、脳内に侵入したバクテリアから脳を守ろうとしてアミロイドがバクテリアを包み込み、その結果アミロイドが増加する、という考え方です。そんな折、注目され始めたのが歯周病菌だったのです。
サンフランシスコに拠点を置く製薬企業がアルツハイマー病の患者を対象とした治験をすでに開始しており、良好な結果が得られている、と報告しています。
もちろん、この薬がアルツハイマー病治療の切り札となるかどうかを見極めるには、さらなる研究が必要でしょう。
現時点でただ1つ間違いなく言えるのは、歯周病を放置してはいけない、ということでしょう。定期的に歯科医院を受診して、歯周病の検査と歯のクリーニングを受けるようにしましょう。ほとんど痛みもありませんよ(^ ^)